自然界に潜むフィボナッチ数列(管理人が愛する数学その1)

フィボナッチ数列とは? 

 

フィボナッチ数列は次のような数列です。

 0,1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,610,987,1597,・・・
 
0と1から始まり、前2項の和を並べて行った数列です。

0+1=1
1+1=2
1+2=3
2+3=5
3+5=8
5+8=13
 ⋮

 

隣り合う2項の比は、限りなく黄金比 φ=1.618・・・ (例えば55/34=1.6176・・・)に近づいていきます。
例えばひまわりの花は、種が螺旋状に配列しています。これを左回り、右回りに配列している数を数えると、それぞれ34列、55列と明確に数えられるのです。

また例えばアカマツクロマツなどの松ぼっくりの螺旋の配列は5列と8列、ダイオウショウやリキダマツなど大き目の松ぼっくりでは8列と13列、パイナップルも8列と13列になっているのをご存知でしょうか? これらの数は全てフィボナッチ数です。カリフラワーの一種、ロマネスコの螺旋もフィボナッチ(かつフラクタル)です。 他にも植物の葉序など、あらゆるところにフィボナッチ数が潜んでいます。

ところがヒマワリの場合、花が大きくなると種のフィボナッチ螺旋が破綻して数か所に螺旋の中心ができたり、螺旋を都合よく埋めるような配列が加わったりするので、きれいなフィボナッチ螺旋は出来にくいとされています。
これは、ヒマワリの種も大きくなれば(種の数が増えれば)、秩序破綻しないと運営できないのでしょう。人間社会への明快なアナロジーになってます。

 

煙山種苗(矢巾町)の小型の向日葵は秩序破綻が認められない
(左回りの配列が34列、右回りの配列が55列)

他の例も見てみましょう。

アカマツクロマツは5×8のフィボナッチ螺旋に13列の螺旋も見つかることがあります。

松ぼっくりのフィボナッチ螺旋は破綻しない

リギダマツのフィボナッチ螺旋は8×13列

キクイモの花穂に潜む21×34列のフィボナッチ螺旋

 

ロマネスコ(カリフラワーの一種)はフィブナッチ螺旋とフラクタル構造※を併せ持つことが知られていますが、結構破綻しているのも多いです。

 

フラクタルとは?(日本大百科全書より)

自然界には、たとえばリアス式海岸の海岸線や、空に浮かぶ雲の形、河川の本支流の形、動物の体内に広がっている血管の分布の形、あるいは樹木の枝の形など、数学の初等幾何で扱う円や三角形、球、直方体などの整った形とは異なって不規則で複雑な図形が至る所に存在する。数学の古典的な微分法は、どんなに複雑なようにみえる形(曲線)であっても微分が可能である、つまり、全体としては曲がっていても、それを十分に細かく分解していけば、細分された部分はやがて直線と見分けがつかないほどになってしまう、いいかえれば十分に細分された微小部分は直線で近似的に表すことができる、という前提のもとに発展してきた。ところが前記のような自然界にみられる形はその図形を分解していって、その一部を取り出して拡大してみると、元の全体の図形と同じような複雑な図形を依然としてもっている。

いま、どのように分解してもその部分が元の全体と同じ形を備えている図形を数学的に考える。このつねに元の形の縮小した形を備えているという性質を自己相似性という。自己相似性を備えた図形は、その微小部分が線分に近似できないから微分が不可能である。フラクタルとはそのような自己相似性を備え、どこでも微分が定義できないような形(集合)をいい、それを扱う数学をフラクタル幾何学という。

このことばはフランスのマンデルブロB. B. Mandelbrot(1924― )がつくったもので、語源はラテン語のfractasであり、「破片」「分割」を意味する。

フラクタル定量的にはフラクタル次元(相似性次元)で表される。この次元は普通にいう一次元(線)、二次元(平面)、三次元(立体)といった整数で表される次元と異なり、非整数の値も含む次元であり、一般的には次元の高い図形のほうがより複雑で不規則な図形といえる。フラクタル図形は、現在、コンピュータで容易に描くことができ、コンピュータ・グラフィクスの分野で発展した観がある。事実、フラクタル微分不可能であるため、コンピュータによる解析やシミュレーションが不可欠であり、コンピュータとともに発展した幾何学といえる。その対象には前記のような自然界のさまざまな形のほか、天体の分布、地震の発生頻度、ランダムウォーク、流体や高分子構造などきわめて広範囲であり、その研究と成果が注目される。

 

ロマネスコはフィブナッチ螺旋とフラクタル構造を併せ持つ
(参考)左:ビロードモウズイカの花穂にフィボナッチ螺旋が潜む
右:ユリノキの雄蕊は34個が多い       

フィボナッチ数列黄金比の説明の際によく引き合いに出されるオウムガイは、実は黄金比とは関係ないと言われてます。それは、オウムガイが黄金比と違う成長率をもつためです。森遊びの分野でもこのような誤謬に枚挙にいとまがありません。言われていることを信じずに自分で確かめる癖をつけましょう。

 

オウムガイは実は黄金比と関係ない成長曲線